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関東財務(支)局長(金商) 第2868号
兜町裏通り話
特別特集 なぜ日本株が高い?
日銀金融政策を巡るいくつかの「幸運」
2023年4月10日に植田・日銀総裁が就任した。2期・10年も日銀総裁の座にあった黒田・前総裁との違いは、植田総裁ははるかに金融政策に「精通」しており、内外の金融当局や金融市場に知名度もあり、何よりも「状況に応じた適切なコメント」を発信しているところである。
つまり「たまたま」黒田・前総裁が任期満了だったことと、より金融市場に「精通」した植田総裁がその後任となったところが「最初の幸運」である。あからさまに省益を前面に出す財務省OBや典型的銀行マンの日銀OBでは、こうはならない。
植田総裁の就任前の2月27日に行われた総裁候補としての所信聴取では、金融政策の目標とする「2%物価上昇目標」については、未だ「持続的には実現できていない」として「金融緩和を継続することが適切」とした。これは国内市場では無条件に好材料として受け止められ、海外市場では「就任前なので大きな変化は表明しない」と何となく納得されていた。ただこの時点で植田総裁はYCCを含む金融緩和の方法論については「比較的早い時期に微修正」する意図を滲ませ、独自色も出そうとしていた。
そこに間もなく米銀破綻による金融市場による混乱が加わったため、植田総裁のコメントも「さらに緩和的」に微修正される。しかしここで米国や欧州では物価上昇が高止まっているため、金融市場の混乱=即、金融引き締めの終了あるいは利上げ開始とはならない。
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