​兜町裏通り話

特別特集  最近の金融市場で「いくつか」気がついたこと

その1 先週末(9月30日)に発表されたユーロ圏と米国の物価統計は「最悪の結果」

 どういう意味で「最悪の結果」なのかは、じっくりと読んでいただきたい。

 ユーロ圏の9月消費者物価指数(EU基準、速報値)は前月比1.2%、前年比10.0%(8月は同9.1%)とさらに上昇が加速していた。とりわけ物価上昇の元凶とされるエネルギーと食品を除いたコア指数でも、前年比6.1%(8月は同5.5%)と上昇が加速していた。

 前日に発表されていたドイツの9月消費者物価指数は前年比10.9%(8月は同8.8%)も上昇しており、こちらはエネルギー価格が前年比43.9%も上昇した結果である。ユーロ圏では月末にその月の速報値が発表されるため「まさに足元で」「ECBの9月利上げにもかかわらず」「エネルギー価格を入れても入れなくても」物価上昇が加速中となる。

 ECBが「遅ればせながら」テーパリングを加速させた2022年3月の消費者物価指数はすでに前年比7.4%上昇していた。そしてようやく7月に2016年から続いていた(ECBから域内金融機関への)貸出金利がゼロから0.5%になり、ECBの資産買い入れが打ち切られた(償還分の再投資は2024年まで行われる)時点の消費者物価は同8.9%上昇と米国を上回っていた。さらに9月に金融機関への貸出金利を0.5%から1.25%に引き上げた時には消費者物価が同10.0%上昇だったことになる。

 ユーロ圏の消費者物価の上昇加速はロシア産天然ガスの供給不安に起因するところが大きく、また域内にはイタリアやスペインなど金融機関の資産内容が脆弱な国も多いとはいえ、明らかに利上げ開始が遅れたうえ政策金利(ECBから域内の金融機関への貸出金利)がまだ1.25%というのはあまにも低すぎる。